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信用格付
信用格付は、銀行を始めとする金融機関が採用している企業融資判断の一つであり、主に
財務内容をベースとした定量評価により、企業を倒産リスクに応じて区分したものと考え
ても良いかもしれません。
信用格付の定量評価
信用格付けにおける定量評価の具体的な指標としては、次のような指標が挙げられます。
1)売上規模 |
正常先(後述)と評価された企業でも、年商1,000億円の企業と 年商1,000万円の企業では、経営に関する各比率が一緒でも 決して同じ信用格付にはなりません。売上が少ない企業には、信 用格付においても上限が定められることが多いです。 |
2)売上高経常利益率 |
売上高経常利益率=経常利益÷売上高 で表されます。企業が経営を行っていく中での営業活動と財務活 動の総合力としての収益力を表します。 他に売上高総利益率、売上高営業利益率なども融資審査では問 れることがあります。 |
3)自己資本額 |
売上規模と並んで、信用格付上、規模により格付上限が設定され る場合があります。資本金ではなく、内部留保も含めた会社の体 力を信用格付では、大切にしています。 |
4)自己資本比率 |
自己資本比率=純資産÷総資産 自己資本が充実していても、それ以上に借入が大きければ企業 の安定性が損なわれます。自己資本比率も信用格付上大きなウ エイトを占める指標となります。 |
5)債務償還年数 |
債務償還年数=有利子負債÷営業キャッシュフロー で表されます。有利子負債、営業キャッシュフローは次のとおり となります。 有利子負債=短期借入金+長期借入金+社債+CP+割引手形 営業キャッシュフロー=税引後当期利益+減価償却費 また有利子負債から所要運転資金を引いた運転資金以外の債務 償還年数を見ることもあるので、注意してください。これは、経常的 な運転資金以外、還元すれば、その企業が行っている設備投資を 含めた投資活動に対する借入の回収年数と思ってよいでしょう。 所要運転資金=売掛債権+在庫−買掛債権 |
6)借入依存度 |
借入依存度=有利子負債÷(総資本+割引手形) にて表されますが、債務償還年数に加えてチェックをしている金 融機関が多いようです。この指標では、金利上昇に伴う経営(収 益)への影響度合いを見ています |
これらの指標を、素点として、積み上げた上で、企業を信用格付を測ります。
信用格付の定性評価
定量評価を行った上で、定性評価を加えて、総合的な信用格付を決定します。
定性面での評価の対象には、
1)業種・市場動向
2)業暦
3)経営者
4)経営方針
などが上げられます。
信用格付の構成
信用格付の構成は、次の様になります。
1)正常先 |
業績が良好であり、財務内容に問題のない債務者。通常各金融機関では、 この正常先の中でも5から10段階程度の区分を行っています。 |
2)要注意先 |
業績低調、延滞等、今後の管理に注意を要する債務者。概ね赤字計上の 債務者となります。 |
3)要管理債権先 |
要注意先のうち、3ヶ月以上の元本、利息の延滞がある債務者や貸出債 権の条件を緩和した先が対象となります。 |
4)破綻懸念先 |
現在は経営破綻の状況にないが、経営難の状況にあり、今後、破綻が懸 念される債務者。 |
5)実質破綻先 |
法的・形式的な経営破綻の事実はないが、実質的に破綻に陥っている債 務者。 |
6)破綻先 |
法的・形式的な経営破綻の事実(破産、清算、取引停止処分など)が発 生している債務者。 |
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